事務局より 小さい頃から元々音楽に興味があったという栗川さんですが、今はインターネットで曲について調べたり、40歳からトランペットを習ったり、所属バンドではヴォーカルを担当、オリジナル曲の作詞する等、様々な方法で愉しんでいらっしゃいます。雁鳴きフォーラム当日も、会場でiPadとBozeのスピーカーを駆使して実際に音をかけながら、 「音楽の楽しみ」をお話くださいました。 |
語り手2: 栗川長人さん(20期) 「C調B級音楽の楽しみ」 ・今日のお話のタイトル「C調B級音楽の楽しみ」の意味 C調=業界語で例えばバンドのことをドンバといったりするように、「調子いい」を前後をひっくり返して「しーちょー」と読んだもの。 B級音楽=音楽がB級なのではなく、楽しむ態度がB級ということ。 ・自己紹介 ワンゲルでは20期だが、卒業は21期生と一緒に卒業した。 19期の中田氏と同じ会社で6年広告の仕事に携わった後、外大ワンゲルに一時在籍していた同期の女性(現在アイルランド在住)から、ワーキングホリーデーの話を聞き、ニュージーランドに渡る。1988年から1989年にかけてオーストラリアで仕事をする。帰国後、海外向けカタログを中心に販売促進の企画・制作に従事。もともと音楽には興味があった方だが、外大入学後バトミントン部と軽音部に一時的に在籍した後、秋にワンゲルに入部した。 ・スピーチ概要 十代・二十代の当時、特に洋楽に関する情報が少なく、誤解されていたような事柄が、ネット上の豊富な情報集積や、新たな事実の公表、未発表音源・映像の発見・発売などによって、修正されたり、新たな知識を得たり、という楽しみも手軽に得られるようになった。 最近のいわゆる「バンドおやじ」といわれる中高年音楽愛好家が、主にインターネットを介してどのような遊び方をしているかの一端を紹介する。 (実際の演奏活動やごく簡単な演奏体験についても紹介する予定だったが、時間配分のミスにより、今回は果たせず。以下レジュメのグレーの項目は当日触れることができなかったため、この記録にて補足。) それ以降は、中学・高校、社会人に成り立ての頃に、それぞれ思い出したように、バンドのまね事をして遊んだ以外、さほど熱心に音楽に時間と労力を割いたというわけではない。 40歳になった折、ヤマハポピュラーミュージックスクールでトランペット教室に通い始めたを機に、音楽での遊び方にハマる。 専ら聴き手であった者が、音楽を演る側を経験したことで、音楽の聴き方が変わった。昔から知っていた楽曲でも、別の視点から楽しめるようになった。 1-1 オルガンを習わされた テレビの音楽番組に興味を示さないため、このままではバランスの悪い人間になると母親が考えたため、幼稚園でオルガン教室に通わされる。最初の練習は、右手と左手で交互にドドレレ・ドドシシ・ドレ・ドシ・ドドド、と弾く「おつかいありさん」という曲。歌詞は「おつかい・ありさん・おにもつ・えっさっさ」。 1-2 ピアノ教室をやめた 小学校2年生からピアノにグレードアップ。うまく弾けずイライラして、鍵盤をガーンと叩き付ける度に親から叱られた。5年生の春、同級生に男のくせにピアノか、と言われ通うのを勝手にやめる。 1-3 椅子を並べてドラムのマネ 一方、時はグループサウンズ(GS)全盛時代。ピアノには熱心ではなかったが、歌謡番組で流れる曲は好きだった。スパイダース・ブルーコメッツ・タイガース・テンプターズ…などなど、小学校でもみんな結構歌っていた。家では椅子を並べてドラムセットに見立て、妹と弟にほうきを持たせて、マネしたりもした。 1-4 歌謡曲・フォーク・洋楽 小学校では歌謡曲からGS、アニメソングまで結構いろいろ聴いた。遠足のバスでは、「怪物くん」と「真夜中のギター」が何の違和感もなく続けて歌われた。低学年の時のアイドルはピンキーとキラーズのピンキーこと今陽子だった。中学校でフォークと洋楽を聴き始める。 1-5 ラジカセ・エアチェック 中学のころは短波ラジオがブームに。ナショナルGXOやクーガ、ソニーのスカイセンサーなどがあこがれの製品。まもなくラジカセが大ブームに。愛機はソニーのCF-1600。外大入学後も使っていた。タイマー機能がないので、曲が始まる直前に録音開始することで集中力を養う。 SONY CF-1600 http://plaza.harmonix.ne.jp/~ita/8882/CF1600.htm 2.私の音楽活動 2-1 文化祭予選落ち 中学ではイマイチ人気のなかった鍵盤楽器も、ブルースロックやプログレッシブロックのおかげで、高校時代には花形楽器に。そこでピアノの教則本「ハノン」を引っ張り出して「速弾き」の練習をしたりもした。にわかバンドを結成して文化祭の予選に挑戦するが、メンバーの演奏レベルのバラつきが大きくあえなく落選。 2-2 同期でバンド 大学卒業後入社した会社には音楽を趣味にしている者が多く、同期と不定期にバンド活動を楽しむ。会社の周年記念行事で演奏したり、ライブ活動もおこなった。その時の友人とは今も一緒に演奏を楽しんでいる。 2-3 ヤマハポピュラーミュージックスクール 1999年~2000年頃、年齢を重ねた人が楽器を始めるという時代の流れがあった。自分も40歳になってヤマハポピュラーミュージックスクールでトランペットを習い始める。チェットベイカーに憧れて、10年後にトランペットと歌でライブ演奏をおこなうことを目標に定める。また、このヤマハで後にお世話になるトランペット奏者古野光典氏に出会う。 2-4 ラテンパーカッション 2004年ごろからヤマハで知り合った友人にパーカッションレッスンに誘われる。ボンゴを担当。関西屈指のパーカッショニストからラテンパーカッションのみならず、リズムの深みやバンド演奏のヒントなど音楽の楽しさを教えてもらう。2010年11月に退会。 2-5 Lion B.B. トランペットと唄でいつか演奏したいのであれば、ボーカルの経験も必要だろう、ということで生まれて初めてメインボーカルとして参加したバンド。誰かの曲をカバーしても、演奏を聴いている観客は、結局原曲と比較したり、頭の中にある原曲を聴いていることになるので、オリジナルしかやらない、というリーダーの方針により、もっぱら自分達の曲を作って楽しんでいる。 ※オリジナル曲「わたしのお願い」(作詞 栗川長人・作曲 Lion B.B.)の披露 http://dl.dropbox.com/u/53854683/onegai.mp3 ギターとベースの夫婦が営んでいる居酒屋「天満寅蔵」で2ヶ月に1回催されるライブパーティーで演奏をしている。 3.バンドの楽しみ方 3-1 曲をつくる 絵を描いたり、写真を撮ったり、俳句を詠んだりするのと同様に、詩を書き曲を作る、という楽しみ方もある。作詞する際には、以前かじった俳句の経験もプラスになっている。場面・時間の切り取り、省略・消去によるイメージの喚起、など。作詞や作曲は、ある意味自分の恥部をさらすことでもある。 グループサウンズの曲にもいい歌詞が多い。 「夕陽が泣いている」1966 ザ・スパイダース(作詞・作曲:浜口庫之助) 歌詞 http://www.uta-net.com/song/4626/ 3-2 練習する 本番は祭のようなもので、準備・練習の方こそが音楽の楽しみの中心だ、という考え方もある。特に社会人の場合、音楽をする時間を持てさえすれば、練習であれ本番であれ、楽しい遊びの時間である 3-3 楽器を買う これも楽しみのひとつ。ある程度金銭的余裕のある世代が、音楽を再開した後、物欲に火がついて、あれこれ名器を買い集め、師匠であるプロミュージシャンがそれをうらやむ、という逆転現象もまれではないらしい。 3-4 人前で演奏する 常に緊張を強いられる。これがなければ、上達もなければ、喜びも半減。なぜ自分は人前で歌ったり演奏しようとしているのか、わからなくなってやめたくなることが幾度もある。自分の場合、歌う場合は音楽というよりも、演劇などパフォーマンス的意味合いが濃いのかもしれない。 3-5 ライブハウス 中高年の、いわゆる「おやじバンド」がブームになっていることから、ライブスペースを提供する飲食店などが増えた。バンド活動の経験があまり無い人は、いきなり練習用のスタジオやライブをする場所を見つけるのが難しいと思う。現役で活動している経験者と親しくすることで、効率よく知識を身につけられる。(=「小判ザメ方式」)実際の演奏でも、うまい人と一緒にするとうまくいく。上級者の足を引っ張らないように、練習も熱心になるので上達も速いのではないか。 4. 音楽四方山話 4-1 「遊びなおし」 インターネットで次々と情報が得られたり、音楽機器が買える余裕もできたことで、近年、音楽を楽しみなおしている。インターネットで音楽を調べていると芋づる式に色々な発見ができて止まらない。以下は音楽を色々と聴き比べているうちに発見した面白い例。 (※雁鳴きフォーラム当日は、以下の曲を実際に聞き比べながらのお話でした) [ネットを介して知る過去のポピュラー音楽の新側面] 1960年代後半は、欧米でヒットした曲を焼き直して、日本のオリジナル曲として発表することが多かったらしい。 [例] 「Nothing To Hide(愛の聖書)」1969 歌:Chris Montez http://www.youtube.com/watch?v=XOSMcbLSAP0&feature=youtube_gdata_player 「経験」1970 歌:辺見マリ http://www.youtube.com/watch?v=NfETgswA3HY&feature=youtube_gdata_player 1971年発表の「17才」は意図的に「Rose Garden」を元にしてつくられた。 「Rose Garden」1971 歌:Lynne Anderson http://www.youtube.com/watch?v=IdSnwufjKtc 「17才」1971 歌:南沙織 http://www.youtube.com/watch?v=SRWQKfoemiE さかのぼって1960年前半は、欧米のヒット曲を日本語でカバーすることが主流だった。67年に「小指の思い出」をヒットさせた伊東ゆかり、66年に「逢いたくて逢いたくて」を薗マリは、62年に「可愛いベイビー」をヒットさせた中尾エミと同じく、アメリカンポップスを日本語で歌っていた。 「The Loco-Motion」 1962 歌:Little Eva http://www.youtube.com/watch?v=X234srz_5Jg 「ロコモーション」1962 歌:伊東ゆかり http://www.youtube.com/watch?v=9_ATDy-BHI8 「The Loco-Motion」1972 歌:Grand Funk(Railroad) http://www.youtube.com/watch?v=jxyU4W8iyeI 1960年代の前半は、洋楽をそのまま日本語で歌っていた。1960年の前半は音楽を輸入していたのが、後半になるとアレンジへと変わっていったことがわかる。 「ロコモーション」は元々キャロルキングが作曲したもの。それを1974年にグランドファンクがロックにアレンジして流行った。 [盗作] 洋楽の有名な曲にも、いわゆる「パクり」(盗作)が疑われるものがある。 「Smoke on the Water」 1972 歌:Deep Purple http://www.youtube.com/watch?v=zUwEIt9ez7M 「Maria Quiet」 1966 歌:Astrud Gilberto http://www.youtube.com/watch?v=cgIls71_Gmo Astrud Gillbertoは、あの「Girl from Ipanema(イパネマの娘)」(Antonio Carlos Jobin)をヒットさせた歌手。 http://www.youtube.com/watch?v=UJkxFhFRFDA 60年代には欧米でも著作権の意識はさほど高くなかったようで、レコード発売当時は、オリジナル曲の作者のクレジットを掲載せず、大胆なアレンジを加えた上で、自分たちのオリジナルとしていたものも多かった。 「Whole Lotta Love」1969 歌:Led Zeppelin http://www.youtube.com/watch?v=Mln0RciE2o0 「You Need Love」1962 歌:Muddy Waters http://www.youtube.com/watch?v=pM8_HuQ0b34 Led Zeppelinのリーダー兼ギタリストのジミー・ペイジは、北京オリンピックの閉会式で、ロンドンオリンピックPRショーでこの曲を演奏している。 4-2 ジャズとブルース ジャズもブルースも一口に黒人音楽がルーツという風にまとめられるが、成り立ちは大きく異なる。 ルイジアナ州に住んでいたフランス系の人間が、音楽の才にすぐれた黒人に西洋音楽を教えたのが、ジャズの発祥とする説がある。 一方、アフリカのさまざまな場所からアメリカに奴隷としてつれてこられた黒人には、共通のいわゆる「アフリカ音楽」というものがあったわけではないが、同じ境遇であることから互いに共感を持ち、同じルーツを持つ者としてのアイデンティティを確認するひとつの手段として、米国南部で徐々に形成されていったのがブルースである、といわれている。 ブルースの歌詞は主に恋愛を中心とした、ある意味で愛らしい、たわいのないもの、が多い。 「Got My Mojo Workin’」1957 歌:Muddy Waters http://www.youtube.com/watch?v=n0bQKKrpj0E 歌詞 http://www.digitaldreamdoor.com/pages/lyrics_blues/mw_igotmojo.html 同じくルイジアナでおこった「スワンプ・ポップ」なるジャンルの存在を最近知る。感傷的なメロディーと三連符による伴奏が特徴的で、ポップス・ロック・歌謡曲にもその影響がみられる。 「Mathilda」1957 歌:Cookie and The Cupcakes http://www.youtube.com/watch?v=X2W2aB7E24M 「Oh! Darling」1969 歌:The Beatles http://www.youtube.com/watch?v=iLnVOyhqSi8 4-3 歌謡曲とラテン音楽 「昭和流行歌」は、歌詞こそ和風であるが、伴奏は一流のラテンバンド・ハワイアンバンド・ジャズバンドが、本格的な演奏をおこなっていた。 いまあらためて聞くと、下記の曲など歌詞と一部のウワモノは和風だが伴奏はまるっきりラテンミュージックである。 「ほんきかしら」1966 歌:島倉千代子 http://www.youtube.com/watch?v=696egI6tuXw 4-4 エルビス・プレスリーとブリティッシュ・インヴェイジョン 50年代のアメリカ合衆国では、白人がおおっぴらに黒人音楽を聴くことはタブーとされていた。黒人と同じようにリズム&ブルースを歌えるエルビス・プレスリーの登場で、誰もがブルースやロックンロールを楽しめるようになった。しかし、依然として黒人ミュージシャンの音楽を公然と聞くことは憚られていた。 60年代に入ると、米国のような垣根の無い英国で、プレスリーをきっかけに黒人ブルースや英国R&Bを聞いて育ったビートルズやローリングストーンズなどを筆頭に、多くの英国ミュージシャンが、米国に進出。これをブリティッシュ・インヴェイジョンという。公民権運動などとも重なり、米国でも自分たちの音楽としてブルースやR&Bを自由に楽しめるようになる。 60年代、英国のロックミュージシャンは黒人ブルースを盛んにカバーした。(前出のLed Zeppelinもこの流れ。)3大ギタリスト(ジェフ・ベック、エリック・クラプトン、ジミー・ペイジ)のひとりクラプトンが在籍していたバンドCreamもカバーしている。 「Cross Road Blues」1936-7 歌・作詞・作曲:Robert Johnson http://www.youtube.com/watch?v=Yd60nI4sa9A 「Crossroads」1968歌:Cream (Eric Clapton)作詞・作曲:Robert Johnson http://www.youtube.com/watch?v=YdwVVI4B3oY 4-5 「見つめていたい」 The Police 「Every Breath You Take」(邦題「見つめていたい」) http://www.youtube.com/watch?v=cEnJDaqT3-0 いちずな思いを伝えるラブバラードとしてヒットしたが、実際はストーカー的心情を織り込んだ歌であることを作者のスティングが最近公表した。歌詞を読むとそのとおりに読める。 [歌詞] http://www.loglar.com/song.php?id=16216&lang=ja 5. リズム遊び 5-1 メダカの学校 一般に手拍子をたたきながら歌をうたうが、これを逆にして、口で(声で)拍子を刻みながら、手でメロディーと同じリズムを演奏する。 [手順] 1) 手でパンパンパンパンと4拍子を刻みながら、口でメダカの学校を音符の長さを意識しながら歌って、それをおぼえる。 2) 次に、メロディーと同じリズムを「パンパンパーンパパンパパパン(ウン)」と手で叩きながら歌う。音符の長さを休符を意識しながら正確に。 3) 最後に、口で(声で)「タンタンタンタン」と4拍子を刻みながら、上記2)と同じように、「パンパンパーンパパンパパパン(ウン)」とメロディーと同じリズムを手で奏でる。声に節はつけない。歌詞の無いところでは手は叩かない。 http://www.youtube.com/watch?v=c1JEwFvxSMM 実際に楽器を演奏する場合、手足で拍子をそのまま刻むことは無く、むしろ、拍は自分の中で感じて、身体は拍子から自由に動かさなければならない。それを自覚し、身体に覚えさせるための練習。 6. 師匠などの紹介(栗川をとりまくミュージシャン・ライブスペース) ● 古野 光典(ふるのみつのり)-----トランペッター ポチ・ジャズ・クラブ http://www.pochi-jc.jp/index.html ポチ・ジャズ・クラブ:メンバー紹介 http://www.pochi-jc.jp/member.html ライブハウス&レストラン ポチ http://pochi-live.com/index.html 〒673-0892 兵庫県明石市本町2-1-1インティイビルB1 電話:078-911-3100 ● 西野 欣哉(にしのよしや、アートハンド、チーチョ西野)-----打楽器奏者 http://www10.plala.or.jp/n448/nishino/index.html ● MR.JIMMY -----Led Zeppelin トリビュートバンド 公式サイト http://www.mrjimmy.jp/ ライブインフォ http://www.mrjimmy.jp/liveinfo.htm ● Gentle Notes -----ギターデュオ http://www.senden-tai.com/gentle_notes カフェ茨木湯 http://www.saho.cz/cafe.html http://www.saho.cz/sche/sche30.cgi?cm=1 日時:10月22日(土)15:00~ 場所:カフェ茨木湯 茨木市宮元町4-1 電話:072-631-1887 料金:1,500円(1ドリンク付き) バブデッシャロ(空堀) http://www.dessharo.co.jp/pab.htm ● 天満寅蔵(てんまとらぞう)----- 居酒屋 http://www.tenmatorazo.com/index.html 二ヶ月に一回ライブ開催 ● バー・スティル ----- プログレッシブバー http://still.maffy1996.com/top.html 不定期にライブ開催 |